球磨焼酎ということばは以前にもこのブログで何度か出したことはありましたが、きちんとした説明、そして米焼酎について取り上げるのは今回が初めてになります。
球磨焼酎についてしっかり整理しつつ、おすすめ焼酎に触れていきたいと思います。
それでは今回も是非、最後までお付き合いくださいませ _(._.)_
球磨焼酎とは
まず「球磨焼酎」は ❝ 米焼酎 ❞ のことを指します。
音だけで判断すると「熊(本)焼酎」だと思ってしまうかもしれませんが、オシイです…。
熊本県の南部を流れる川 ❝ 球磨川 ❞ または ❝ 球磨地方 ❞ が語源となります。
ここで球磨焼酎の定義をはっきりさせておきます。
◆ 原料は100%米であること。
◆ 球磨川の伏流水である、熊本県球磨郡または人吉市の地下水を使用すること。
◆ 熊本県球磨郡または人吉市で、単式蒸留機にて蒸留し、容器詰めすること。
以上が球磨焼酎の定義となります。
なお、「壱岐焼酎」「薩摩焼酎」「琉球泡盛」と並び、1995年にWTO(世界貿易機構)により地理的表示の産地指定を受けています。
また、球磨焼酎の表記に関してですが、
商標は球磨焼酎酒造組合が所有しているため、組合に所属していない蔵元さんはラベル表記はできないことになっています。
球磨焼酎 「武者返し」(常圧蒸留25度)
熊本県人吉市の蔵元、寿福酒造場さんがお造りになる本格米焼酎となります。
球磨焼酎で唯一の ❝ 常圧蒸留一筋 ❞ の蔵元だと寿福さんはおっしゃいます。商品ラベル上部には「常圧蒸留25度」と力強く記されているのがその表れのように感じますね。
(常圧蒸留については「常圧蒸留と減圧蒸留の違い!焼酎唎酒師が徹底カイセツ!!」をご参照ください)
味わいとしては ❝ ふくよかな甘みと濃厚なコク ❞ と言えると思います。
世の中では、赤身肉には赤ワインを合わせるのが常識のようになっていますが、僕はこの「武者返し」をおすすめします。
例えばローストビーフ。
噛むほどに濃厚な肉の旨みが現れてくる赤身肉に「武者返し」の特徴がベストマッチします。
自身が営んでいました本格焼酎専門居酒屋ではこの組み合わせのおかげで、常連さんにとっての欠かすことのできない焼酎となっていました。
これは自信を持っておすすめします。是非、お試しください。
飲み方は、お湯割りがベストですが、夏は水割りがベターです。両方、濃い目がおすすめです!!
造り手さんの想い
トップ画が原本となりますが、ここで(前杜氏)寿福絹子さんから僕宛に綴られたお手紙を載せておきます。
女性杜氏がおっしゃるからというわけではありませんが、人の子として生まれ育てられたすべての方の心に響く内容だと思います。
寿福さんの想いがしっかりと込められた文章となっておりますのでどうかご覧ください。(原文ママ)
私共の蔵元はとても小さな蔵です。全ての工程を手作業にて造っています。
仕込みに入ると一日も休めませんし、夜中起きてモロミの面倒を見ないとなりません。半年間休みなしというのはとてもツラいです。
でも、子育てと同じでツライけど喜びもたくさんあるし、手をかける分愛おしさも感じます。
仕込み期間大好物の納豆がご法度となり、仕込みが終わる日は納豆解禁となり毎日食卓にあがります。
出来上がった焼酎は、原酒で最低二年は貯蔵熟成させるのですが、瓶詰めをしてラベルを手で貼るときにいつも想うことが、
「どんな人の手元にいくのかな」
「どんな人が飲むのかな」
「飲んでおいしいと思ってくれるかな」
ということです。ラベルを貼ったあと、一本一本ふきあげてダンボールへ …。
とにかく愛情を込めて造りあげた焼酎ですので、最大の喜びは、理由やウンチクなどはいらない、
ただ「おいしい」のお客様のひとことです。
嗜好品ですからもちろん「武者返し」が苦手な方も多いでしょう。
でも「おいしい」と言って愛飲してくれる方がいらっしゃる限り、変わることなく地元の新米だけで頑張って造り続けます。
ここでは敢えてひとことに留めておきます。
「武者返し」本当に ❝ おいしい ❞ です。
是非、皆様にも体感して頂きたいです。
最後に
寿福さんの想いを受けた上で、それでも僕は本格焼酎の魅力をなるべくわかりやすく、しっかりと皆様に伝えていきたいと思っています。
それによりいつの日か、
僕の言ってることなんて関係ない、
ただただ ❝ おいしい ❞ という一本の本格焼酎に出逢って頂けたら、僕は嬉しいです。
寿福さんのお言葉をお借りするなら、そういう方がいらっしゃる限り、変わることなく本格焼酎の素晴らしさを発信し続けていきます。
今回も最後まで読んで頂いた方、ありがとうございました!!
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