皆様には懐かしい香りというものはありますか?
その香りが思い出を呼び起こすということ、あると思います。
今回ご紹介する焼酎と出逢ったのは10年以上前のことですが、
この焼酎の香りが当時の出逢いを思い出させます。
僕の思い出を蘇らせる、
非常に個性豊かな一本の本格焼酎を今回のテーマとさせて頂きます!!
出逢い
まだまだ駆け出しだった僕が働いていた飲食店でのこと、当時お世話になっていた酒屋さんで今回のテーマ、
「宝山綾紫芋麹全量」と出逢いました。
お客様の印象にしっかりと残るそんな焼酎を探していたとき、酒屋さんはこの焼酎を僕にすすめてくださいました。
一通り説明を受け、僕は言われるがままに買うことにしました。
そのとき酒屋さんが言っていたことを一言で表現すると、
❝ とにかく香りがすごい ❞ ということでした。
本来、初めて購入する焼酎は、お店の開店前に必ず試飲してお客様にどうご説明するかシミュレーションするのですが、その日は開店準備に追われ、開封することなくお店をオープンさせてしました。
あっという間に店は満席になり、その忙しさから、今日購入した焼酎のことを忘れていました。
すると、ひとりのお客様が「宝山綾紫芋麹全量」を指し、僕に説明を求めてきました。
仕事を怠った僕が100%悪いんですが、心の中では ❝ 今日はこの焼酎突っ込まないでくれ… ❞ と思っていました。
開き直り、まだ自分自身も飲んでいないということを正直に話しました。
それでも飲んでみたいという事だったので、一升瓶を手に持ち、ドリンク場までそれを持っていこうとしたそのとき、事件が起きました。
満席のホールのど真ん中で、手から滑り落ち、割ってしまったのです…。
申し訳ございませんと言い、すぐに割れた瓶を片付けるのが飲食店員としてのセオリーなのですが、そのときの僕は違っていました。
割れた直後にホール中に広がるこの焼酎の香りに、酒屋さんが言っていたことを思い出したのです。
とてつもなくエレガントでフローラルな香りが、大げさではありません、一瞬にしてホールいっぱいに広がりました。
その香りに驚愕し、言葉が出ませんでした。
気付くと店長が皆様に謝罪し、割れた瓶を片付けていました。
その後は当然の流れです。お求めになられたお客様に謝罪し、店長に怒られるという…。
お店に対しては全額弁償し、身をもってこの焼酎が持つ力を体感させられる結果となりました。
それが僕と「宝山綾紫芋麹全量」との忘れられない出逢いです。
宝山綾紫芋麹全量
「富乃宝山」でおなじみの西酒造さんがお造りになる本格芋焼酎です。
綾紫とはさつま芋の品種名のことです。
赤ワインのような芳醇な香りなどと例えられますが、香りについては前述の通りです。
付け加えるのであれば、冷たい状態でもその香りがしっかりと感じられるということです。
この焼酎のすごいところはここにあると僕は思っています。
普通は(ロック、水割りなど)冷たい状態ですと香りは抑えられます。反対にお湯割りのように温かいと香りは昇ります。
また、❝ 綾紫芋麹全量 ❞ ということから米麹を使用していないということがわかります。
芋麹全量についての説明は「焼酎唎酒師おすすめ焼酎 ③ 国分酒造さんが26度に込めた想い」をご参照ください。
その年の出来によって度数が違うとのことですが、28度と表記されていることが多いです。
少し度数もありますので、5:5 の水割りくらいでも十分にこの焼酎のポテンシャルは保たれます。
また、少し薄めの割合での炭酸割りもおすすめします!!
花のような香りと炭酸の相性は非常にいいです。初心者の方にはこういう飲み方もアリです。
少々お値段が高めの焼酎なので割ることをためらう方もいらっしゃると思いますが、
本格焼酎を割ることに抵抗を感じてほしくないというのが僕の考えです。
ご自身に合った自由な飲み方で楽しんでいただくことで、本格焼酎をより身近においてほしいと願っています。
合わせる料理は、赤身肉との相性が抜群だと思います!!
当たり前のように合わせていた赤ワインにたまにはこの焼酎をあててみてください。
きっと本格焼酎の新たな一面が垣間見れると思います。
最後に
西酒造さんの焼酎は、「富乃宝山」を中心に各地でよくお見掛けすると思いますが、
蔵の歴史についてはあまり知られていないかもしれません。
興味のある方は西酒造さんのホームページをご覧になってみてください。
僕もよく見ますが、更新も頻繁でとても興味深い内容になっています。
その歴史の深さ、「富乃宝山」に隠されてた蔵元さんの想いなど、蔵元さん自身が表現されています。
いつか行こう行こうと思い結局行けていない蔵元さんですが、訪れた際は僕の言葉で皆さんにお伝えできればと考えています。
今回は僕のしょうもない過去の話が大半になってしまいました…。
皆様は蔵元さんが必死になって造られた焼酎、大切に取り扱ってくださいね。
では、また次回も是非、読んでください (^^)/
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