焼酎唎酒師おすすめ焼酎 ④ 大海酒造さんにとっての誇りと絆

 

前々回の国分酒造さんの記事では〝 初心忘るべからず 〟という言葉でブログを締めくくりました。

あれから僕自身、初心という言葉が頭から離れず、あらゆる面で最初のときの気持ちを考えるようになりました。主には現在の仕事を始めたときの気持ちを考えることが多かったのですが、もっと昔にさかのぼって考えてみたとき、今回のテーマ、大海酒造さんが今の僕にとっての原点だったと再確認できました。

 

そんな大海酒造さんの焼酎を今回のテーマとし、おすすめ焼酎とさせて頂きました!!

 

僕にとっての原点

 

僕が社会人として初めて勤めた会社は、本格焼酎を柱とした和食の居酒屋でした。
ここは本格焼酎を約200種類取り揃えるお店でして、多くの焼酎に触れることができたことでそれからの僕にとってのいわばいしづえのようなお店となりました。

そこで働いていたときのことです。

もともと僕はキッチン志望でこの店に入って仕込みなどの仕事をしていたのですが、上司の口車に乗せられ、1か月後にはホールを担当することになりました。

いろいろ覚えなければならないことはありましたが、何と言っても焼酎です。200種類を把握することに正直初めはビビっていました。ですが、これはあくまでも仕事です。お客さんを前にしたらプロです。やるしかないと思いました。

休みの日は朝から晩まで図書館にこもり、とにかく焼酎の勉強をしました。
そんな日々を過ごしていくうちに、お客さんから少しずつ信頼をして頂くようになり、〝 焼酎のオーダーは鈴木のおすすめで 〟というのが店の流れのひとつとなっていきました。そして、気づけば上司にも説明するようになった僕はついに天狗になりました。

もうここにある焼酎のことなら何でも把握してる…こんなのちょっと真面目に勉強すれば誰でもわかるわ…本気でそんなことを考えていました。

 

そんなある日のことです。
何の本だったかは忘れましたが、今回のテーマ大海酒造さんの大牟禮良行杜氏へのインタビュー記事があったのです。こんな内容でした。

❝ 焼酎造りがひと段落し手が空いたときは契約農家さんの畑に行き、農作業を手伝う。さつま芋を育てる農家さんの気持ちがわからないでいい芋焼酎は造れない ❞

体中に衝撃が走りました。
大切なことを何もわかってなかった…焼酎の造り手さんの気持ちを知ろうともしていなかった自分、それがそのときの僕でした。

❝ 焼酎の造り手さんのことを知らずして、本当にいいご案内などできるはずがない ❞

ということにここで気づかされたのです。

それからというもの、水を得た魚のように、蔵のこと、造り手さんのことを知るため、九州へ手紙を書いたり、電話をしたり、そして実際に蔵へ見学へ行ったりとするようになりました。

今思えばあのときの記事が僕の原点だったんだと思います。

 

 

大海酒造さんについて

 

上記で記載しましたようにさつま芋を作る農家さんとの繋がりを大切にする蔵元さんです。それはお造りになられる焼酎の裏ラベルに表れています。ほとんどの焼酎に大牟禮杜氏と契約農家さんが写る畑での写真が貼られています。

さらに、大牟禮杜氏から僕宛に届けられた7年前のお手紙にも一貫性がありました。

❝ 大海酒造で使用する芋は全て契約栽培であります。地元の農家が地元の焼酎蔵に芋を納めそれが焼酎になる。互いに顔が見えることが信頼であり誇りでもあります ❞

十数年前に見た記事の内容と全くぶれることのない姿勢にどこか安心し、同時に改めて尊敬の念を抱きました。

 

大海酒造さんは鹿児島県の大隅半島中央部に位置する鹿屋市(かのやし)に蔵を構えます。

鹿児島空港から桜島側の鹿児島湾沿いを下っていくと徐々に大海酒造さんの焼酎の取扱店が目に見える形で現れてきます。当然、桜島も雄大に眺められますが、個人的には大海酒造さんの看板やのぼりなどが見えてくる様子がなぜか感動してしまいます…。

鹿屋市では「小鹿」という焼酎をお造りになられる小鹿酒造さんの方がシェアとしては大きいのですが、やはり思い入れが強いせいか大海酒造さんの銘柄の焼酎を見ると嬉しくなってしまいます。

なかなか鹿児島に行く時間は取れないかもしれませんが、ここ東京で行われる焼酎の試飲会などのイベントにも精力的に参加される蔵元さんなので、皆様もご参加の際は大海酒造さんのブースに行ってみてください。以下に記載しました焼酎以外もブースには並んでいるのできっと新たな発見があると思います!!

 

 

おすすめ焼酎

 くじらのボトル 【芋焼酎】

 

大海酒造さんを代表する焼酎です。
優しい口当たりではありますが、大海酒造さんの焼酎の中では比較的、飲み応えのあるはっきりとさつま芋の風味が感じられる方だと思います。

また、秋には「くじらのボトル 新焼酎」(通称、くじらのヌーボー)が毎年発売されます。こちらはその年の出来立ての焼酎となり、蒸留後すぐに瓶詰めされるため、独特の粗さが特徴となります。香りも新酒特有のものがあり、よく〝 新車のような香り 〟などと例えられます。

どちらかと言えば焼酎通の方にお勧めします。しかし、毎年コンスタントに新酒として発売される蔵元さんはそんなに多くなく、また、世界の蒸留酒の中でも熟成をかけずに楽しむことができるというのは、焼酎の特徴のひとつと言われています。新酒というものがどういうものか、一度は体感して頂きたいです。

飲み方はお湯割りがベストだと思います。

(お湯割りの作り方については、焼酎のお湯割り!これが蔵元公認のお湯割りの作り方です!!をご参照ください)

 

⑵ くじらのボトル綾紫(白麹)(黒麹)【芋焼酎】

綾紫(さつま芋の品種)のフローラルでエレガントな香りが優しく香ります。

梅や紫蘇の葉を利かせた料理、桜エビを使った料理など、鼻から抜ける香りも楽しめる料理との相性がいいイメージがあります。この焼酎が持つ優しい花のような香りが料理をそっと包み込んでくれます。

黒麹、白麹とありますが、この2つの違いは正直微妙な差に感じられると個人的には考えます。綾紫としての特徴が強いため、2つの違いをきちんと把握することはちょっとハードルの高い楽しみ方のような気がします。また、表ラベルもワンポイントの違いと少々見た目の違いも分かりにくいので裏ラベルの原料の表示欄で確認するのがよろしいかと思います。2種類ありますが、難しく考えずに、まずは綾紫の特徴を楽しんで頂きたいです。

お勧めの飲み方は7:3くらいの濃いめの水割りです。
風味がしっかりと感じられる濃さで飲んで頂くのがよろしいかと思います。

 

⑶ 海 【芋焼酎】

この焼酎の特徴ははっきりしています。スッキリ、爽やか、飲みやすい焼酎です。減圧蒸留によりクリアな焼酎となり、黄麹菌の特徴のひとつである華やかさを演出した、一瞬、芋焼酎かどうかを疑うような印象の焼酎です。

以前、飲食店の現場で働いていたとき、ご一緒の男性の方に合わせようと芋焼酎をご注文をされる女性がいらっしゃいました。焼酎を飲んだことがなく、お酒を飲むときはカシスオレンジなどのカクテルだという女性が、私でも飲める芋焼酎をお願いしますというオーダーです。男性のお客様も鈴木ならやってくれるという眼差しで見てこられました。

このシチュエーションで僕は「海」を選び、ここに少量のシロップを入れ、それをソーダで割りお出ししました。結果としてはご満足頂けました。最後には〝 今日は焼酎デビューできました 〟と喜んでお帰りになっていく姿がありました。

次のご来店では〝 前回の焼酎お願いします 〟と言われましたが、その次以降は水割り、季節によってはお湯割りと男性の方と同じ飲み方で焼酎を楽しまれていました。この方にとっての焼酎を飲むきっかけに立ち会えたことは、その後の僕にとっても大きなヒントを頂く結果となり、財産となりました。

こういったお客様をさらに増やしていきたいと考え、いろいろなシロップを試しましたが、芋焼酎にはハチミツが合うなというのが僕の答えです。こういう飲み方も本格焼酎の世界にもあっていいと僕は思います。

ということで、お勧めの飲み方としては、ロック、濃いめの水割り、そして、ハチミツソーダ割りをご提案します。

 

⑷ 楔 【芋焼酎】

 

特約の酒屋さんにしか卸していない焼酎なのでなかなかお見掛けしない焼酎かもしれません。

「黄金千貫」「白麹」「常圧蒸留」という芋焼酎におけるまさに直球勝負の焼酎と言えます。この基本に忠実に造った焼酎で飲み手の方の心に楔を打てるか問うてみたいというロマンあふれるコンセプトの焼酎です。

 

それぞれの蔵元さんには独自の基準というものがありますし、何の焼酎がスタンダードとなるかなんて明言できませんが、僕の場合は「楔」をひとつのバイブルとしていました。

特に白麹を表現する上での教科書のような存在として考えています。いくら口で白麹とはこういうものですとお話してもなかなか伝わらないと思います。また、白麹だからこういう味ですと一概には言えない焼酎が多々あります。そういう意味でこの「楔」は ❝ 穏やかで優しい甘さ ❞ という白麹の特徴がしっかりと表現されている焼酎だと僕は考えています。

黒麹と白麹の違いについてお客様にどう表現すればわかりやすく伝わるのか本気で悩んだ時期がありました。そんなとき、白麹に関して は ❝ こういうことだよ ❞ と言われた気がしたのが「楔」でした。

 

それぞれの麹菌の特徴についてはまたきちんとブログの表題として掲げますので今回はこの辺にしておきます。

飲み方のおすすめは、楔:水 6:4の前割りを1日~3日寝かせ、適温(42~43℃)に温めるのがベストです。

非常に上品なお味の焼酎に感じられると思いますのでお味の濃い料理、おつまみは避けた方がよろしいかと思います。

 

最後に

 

偉そうにいつも焼酎語っていますが、僕は初めから焼酎が好きでこの世界に足を踏み入れたわけではないのです。仕事だから…ということで焼酎のことを徐々に知っていくようになりました。その中で、先程記載しました大牟禮杜氏のお言葉に出逢い、焼酎をさらに深めていくことで心から本格焼酎というものが好きになっていくことができました。

僕に一番初めに焼酎と出逢わせてくれた人は、当時次のように言っていました。

❝ 本当におもしろいのは人だ ❞  と。

あのときはあまりピンときませんでしたが、今では本当にそうだなと思えます。

もちろん、このブログを通じ、皆様の焼酎に関する疑問に対し、なるべくわかりやすくお伝えしていく所存ですし、また、ひとつひとつの焼酎の解説も記載していきます。この焼酎はどういった風味でどういった飲み方がいいのか気になることは当然の疑問ですし、それを伝え、提案することは焼酎焼酎唎酒師としての役割のひとつだとも考えています。

ですが、僕が目指すところはもうひとつあります。それは、単に焼酎に関する知識をお伝えするのではなく、

香りや味じゃない何か ❞ お伝えしていくことです。

蔵の特徴、造り手さんの想い、それも込みで本格焼酎の魅力です。

そんなブログですが、これからもお時間あるときに目を通して頂けると嬉しいです!!


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