本格焼酎をソーダで割るという飲み方ですが、僕の感覚では、これはここ最近のことのように感じています。
蔵元さんが行う焼酎の試飲会などでも、今は炭酸がブースに常備され、「ソーダ割りもおすすめです」といった具合に来場者の方にご提供されていますが、この光景も10年前には見られなかったように記憶しています。
今回は、私鈴木が飲食店で働いていた当時の心の葛藤や経験、ある人からインスパイアされたことから生まれた「焼酎ハイボール」を皆様と共有できればと思い、書いてみました。
有難いことに徐々に焼酎の造り手様もこのブログを見てくださるようになりましたが、今回の内容はそんな造り手さんに、見方によっては不快に思われるような内容になっているかもしれません。
ですが、自信とプライドを持って、皆様におすすめしたいと思います!!
それでは今回も是非、最後までよろしくお願いします_(._.)_
ご来店されたお客様に本格焼酎を飲んでほしかった
僕が初めて飲食店の店長を任されたお店は、本格焼酎を約200種類取り扱う、ちょっとやり過ぎじゃないかというお店でした。
そんなコンセプトではありましたが、僕が店長になったときは先代の店長が掴んでいた女性客が多く、その方々は焼酎が目的でご来店されるというよりは料理が目的でご来店されていました。飲まれるドリンクはサワー、カクテル…。
ご来店されること自体が有難いことだと心から思っていました。
でも僕の本心は、そんなお客様にも本格焼酎を飲んでほしいとずっと思っていたのです。
ミーティングの度にそのことを上司には相談していましたが、押し売りはするなという指導でした。(わかっとるわっ!!)
そんな折、お酒のセミナーに参加しました。
いろんな方が講義してくださったのですが、一人のワインソムリエの方の講義内容が、僕が当時抱いていた葛藤を払拭させました。
その方がお勤めされるある日のレストランでのお話でした。
6人の女性客が赤のボトルワインをご注文され、そのソムリエさんがグラスに均等にワインを注ごうとしたとき、
1人の方が、「私ちょっとで大丈夫です」と言いました。
ソムリエさんが、「赤ワイン苦手ですか?」と聞いたところ、
「そうですね、サングリアは好きなんですけど…」とお答えしました。
するとソムリエさんは、ポケットからガムシロップを取り出し、即興で簡易的なサングリアを作ったのです。
お帰りの際は、「今日はみんなで楽しくワインが飲めました。ありがとうございました!」
と言われ笑顔でお帰りになったそうです。
そして最後にソムリエさんは、受講者に向けて、
❝ 僕のやったことはワイナリーさんに怒られますか? ❞
と言ってその講義は終わりました。
これだと思いました。
お客様が求める ❝ 満足 ❞ の奥には ❝ 共有する ❞ というものある。
そんな風に僕は受け取りました。
↑ 当時の僕が働いていた吉祥寺のお店。もう閉店してますけど(笑)
本格焼酎を共有する
現場に戻った僕は、自分の畑で何ができるのかを考えていました。
そこへ一組の常連様のカップルがご来店されました。
男性はスッキリとしたキレのある芋焼酎をロックでというリクエストのため、大海酒造さんの「海」をご提供しました。
すると、いつもはカシスオレンジやサワー系しか飲まれない女性が、「私でも飲める焼酎はありますか?」と言われました。
男性は「ここが鈴木の腕の見せ所だな」と冗談交じりに僕をあおってきます。
「海」を水割りでご提供するのが定石か…と考えましたが、今までのお客様の飲んでいたドリンクを思い出し、「海」に少しシロップを入れ、ソーダ割りでご提供することを選択しました。結果としては、
「今日は私も焼酎デビューできた!!ありがとう。」と喜んでお帰りになってくださいました。
帰り際にいつも、ありがとうと言ってくださる方でしたが、そのときの ❝ ありがとう ❞ はなぜかいつもと違うように聞こえ、飲食店の仕事にまたひとつ大きな魅力を感じさせられた出来事となりました。
↑ 店内画像 懐かしすぎる!!15年前(笑)
焼酎ハイボールを極める
これをきっかけに、
本格焼酎が本来持つ特性に寄せた「焼酎ハイボール」はできないかと考えました。
本格焼酎だからこそできる「焼酎ハイボール」を模索するようになったのです。
既存の概念にとらわれることなく、いろいろ試しました。知り合いのバーテンダーさんも親身になってご相談に乗ってくださいました。
行き着いたのは ❝ ハチミツ ❞ でした。
ハチミツが持つ、自然で優しい甘さが、特に白麹の芋焼酎や熟成をかけた芋焼酎が演出する繊細で柔らかな甘さにマッチするというのが僕の考えです。
香り、後味共にパンチのある芋焼酎だと双方がケンカしてしまうので、優しい甘さを表現する芋焼酎がいいと思います。
ハチミツは水に溶ける性質があります。
これを利用し、まず、適量の芋焼酎でハチミツを溶かします。それから氷を入れ、なるべく氷にあてないようにソーダを焼酎に向けて落としていく。そして軽く攪拌する。
ハチミツはほんの少しで大丈夫です。
本来持つ芋焼酎の甘さと合わさり、香り、後味共に十分に甘く感じられます。
本格焼酎初心者の方にももちろんおすすめですが、
❝ 一杯目、今日はビールじゃないな ❞ というシチュエーションでもおすすめできます!!
夏にピッタリの本格焼酎の楽しみ方だと思っています。
また、甘口の九州醤油との相性も良く、お刺身などにも合わせやすいです。
是非、お試しください!!
最後に
❝ 僕のやったことはワイナリーさんに怒られますか? ❞
と言ったあのソムリエさんが抱く心の奥のお気持ちが、今なら少しわかるような気がします。
きっと誰よりもワイナリーさんのことを考えていた方だと思います。
対、消費者様の最前線に立つ方として、ワイナリーさんが一生懸命に造られたワインで人を笑顔にしたい、少しでもワインの印象を良くしたいと願う心がこの言葉の裏にはあるような気がしてなりません。
受け取り方は様々だと思います。
僕のやってることも本格焼酎に対する冒とくと捉えられても仕方ないかもしれません。
ですが、今回ご紹介した「焼酎ハイボール」で少しでも多くの方が本格焼酎に触れる機会が増し、これから先もこの素晴らしき日本の文化が根本的なことは変わることなく、永続していくことを願っています。
今回も最後までお付き合い頂いた方、ありがとうございました!!
また読んでくださいね (^_^)v
コメントを残す